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埼玉を拠点に全国展開を目論む スイングアリーナ |
昨今、格闘技の殿堂として注目されているのが「埼玉スーパーアリーナ」だ。因縁の内藤/亀田戦もここで行われたし、年越しイベントの定番となった数々のビッグファイトも開催される。さいたま新都心のランドマークとして、注目度はピカイチだ。
その好立地に09年末、インドアゴルフがオープンした。アリーナの1階スペースに12打席を設け、そのすべてにシミュレーションゴルフを完備した「スイングアリーナ1号店」だ。同施設の経営者は、「ここで収益性が確立できれば、全国の主要都市にFCで出店する構想もあります」と、自信満々―。
事業形態が面白い。施設を運営するスイングアリーナジャパンは、異業種の共同出資で設立された新会社で、出資企業はいずれもゴルフとは馴染みが薄い。ひとつは首都圏に10店舗のレストランを運営するK&Dレストランズ(平沼大二郎社長)で、もう1社は防犯カメラを製造販売するPSD(大山伸善社長)。PSDは08年秋、高速度カメラの技術転用でシミュレーションゴルフに参入したからズブの素人とはいえないが、業界での認知度は高くない。その両社がなぜ、共同出資で新会社を興したのか?
実は、K&Dの平沼社長は「埼玉ニュービジネス協議会」の会長を務めており、PSDも県内の会社で協議会のメンバー。ここでは地元企業の経営者がアイデアを持ち寄りながら、ニュービジネスの可能性を探っている。一義的には埼玉の活性化を目指しつつ、地元人脈の活用を図る狙いがある。両者の邂逅は、いわば必然的だった。
過去数年、シミュレーションゴルフの台頭は目覚しく、激しいシェア争いが成長のダイナミズムになっている。他社に先駆けてシミュレーターの導入施設を確保すれば、アフター需要も取り込めるため、早い者勝ちの傾向が強い。後発のPSDは劣勢気味で、反転攻勢につなげるには、みずから施設を立ち上げることも効果的と判断した。事実、今回のスイングアリーナには12台を納入しており、チェーン展開が実現すればさらに供給量は増えるだろう。
一方のK&Dは、レストランチェーンとゴルフの連携でインドアコンペのパーティーなど、新たなイベント需要の創出を狙った。その糸口となる1号店をスーパーアリーナに開業できたのは、平沼会長の人脈ゆえであろう。
このようなタイアップビジネスは、ゴルフ用品の世界にも芽生えはじめている。キャスコは先頃、アパレルメーカーのエドウインとライセンス契約を締結し、『エドウインゴルフ』のキャディバッグ等を生産することに合意した。ジーンズメーカーの『エドウイン』がゴルフアパレルに参入したのは昨年10月。以後、順調に供給先を拡大したが、さらに販売アイテムを増やすためにキャスコとの提携を決めたもの。製造技術への期待だけではなく、キャスコの販路を利用して一気に広げる目論見もある。キャスコにしてみれば、生産ラインの稼働率が高まるほかに、「エドウインユーザー」との接点も生まれるから、若者へのアプローチが期待できる。「相乗効果」には定義がある。複数の個別事業を融合して得られる収益は、同じ複数の個別事業を足した収益を上回ること。つまり「1+1=2」ではなく、「1+1=3以上」が成立したとき、シナジー・エフェクトは実現する。上記で紹介した各社とも、その効果を狙ったものだ。
諸事、不透明感が漂うゴルフ市場にあって、タイアップビジネスは着実に根付きはじめたようだ。ふと市場から目を離すと、あちらこちらで発芽している。その様は、まるで雨後の竹の子だ。
市場が変化する節目には、多種多様な企業の参入があるが、昨今の流行りはタイアップ型……。そんなことがいえるかもしれない。
(ゴルフ用品界・片山哲郎)